長岡まつり大花火大会の正三尺玉

コラム

長岡花火でも有名な「正三尺玉」とは?大きさや「三尺玉」との違いも解説

日本三大花火大会のひとつ、新潟県の「長岡まつり大花火大会」。
数ある名物プログラムの中でも、見る人の度肝を抜く圧倒的な存在感を放つのが「正三尺玉(しょうさんじゃくだま)」です。

「普通の尺玉と比べてどれくらい大きいの?」
「名前に付いている『正』にはどんな意味があるの?」

このように疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

夜空を埋め尽くす直径650mもの大輪の花と、身体の芯まで響く轟音。正三尺玉は、単なる巨大な花火というだけでなく、長岡の歴史と平和への祈りが込められた特別な存在です。

この記事では、正三尺玉の具体的な大きさや重さといったスペックから、よく似た言葉である「三尺玉」との決定的な違い、そして打ち上げに至るまでの歴史的背景までを徹底解説します。

この知識を持って現地へ足を運べば、その一発の重みと感動が何倍にも深まるはずです。

そもそも「正三尺玉」とは?大きさ・重さ・開花幅を徹底解剖

長岡まつり大花火大会の正三尺玉
日本三大花火大会のひとつである長岡まつり大花火大会。そのプログラムの中でも、ひときわ異彩を放ち、観客の度肝を抜くのが「正三尺玉(しょうさんじゃくだま)」です。

夜空を埋め尽くすほどの光と、身体の芯まで響く重低音。その圧倒的な迫力は、一般的な花火とは一線を画します。まずは、正三尺玉がいったいどれほどの規模なのか、具体的な数字と身近な比較対象を用いて解説します。

直径と重さ:大人がすっぽり入る巨大な玉

正三尺玉は、花火の玉そのものの大きさが規格外です。具体的なスペックは以下の通りです。

  • 玉の直径:約90cm(三尺)
  • 玉の重量:約300kg

数字だけではイメージしにくいかもしれませんが、直径90cmというのは一般的なドラム缶や、大人がしゃがんで丸くなった状態よりもさらに大きいサイズです。もし中が空洞であれば、大人がすっぽりと入ってしまえるほどの巨大な球体なのです。

花火の大きさは「号数」で表されることもありますが、正三尺玉は「30号玉」に相当します。通常の花火大会でメインとなる「尺玉(10号玉)」が直径約30cm、重さ約8.5kgであることを考えると、重さにして約35倍もの質量があることがわかります。

上空での開花幅:東京タワーをも凌ぐスケール

この巨大な玉が上空約600メートルまで打ち上げられ、開花した瞬間のスケールは圧巻の一言です。

正三尺玉が開いたときの直径は、約650メートルにも及びます。

これを日本の有名な建造物と比較してみましょう。東京タワーの高さが333メートルですから、正三尺玉の開花幅は東京タワーを縦に2つ重ねた高さとほぼ同じということになります。また、高さ634メートルの東京スカイツリーさえも超える広がりを見せるのです。

視界に収まりきらないほどの光の奔流が頭上に降り注ぐ体験は、まさにこのサイズでしか味わえない感動です。

打ち上げに必要な筒の大きさと火薬量

これほど巨大な物体を空高く打ち上げるためには、設備も桁違いのものが要求されます。

正三尺玉を打ち上げるための「筒」は、高さ・設置場所を含めるとビルの数階分に相当する巨大な装置です。使用される打ち上げ火薬の量だけでも凄まじく、火薬取締法の制限ギリギリである80kgもの火薬が使用されます。

この膨大なエネルギーが一気に解放されるため、打ち上げ時の「ドンッ」という音だけでも、遠く離れた場所の窓ガラスが震えるほどの衝撃波を生み出します。

「正三尺玉」と「三尺玉」の違いとは?名称に込められた歴史

クエスチョンマーク
「三尺玉」と呼ぶ場合と、「正三尺玉」と呼ぶ場合。一見すると同じものを指しているように思えますが、わざわざ「正」の字を冠するには明確な理由と、花火師たちの譲れないプライドが存在します。

ここでは、その名称の違いに隠された意味と、新潟の花火文化を語る上で外せない歴史的背景について解説します。

「正(しょう)」が付く本当の理由

結論から言えば、「正三尺玉」の「正」とは、「正真正銘の三尺(約90cm)の大きさがある」ということを証明するための言葉です。

花火の大きさは伝統的に「尺貫法」で表されますが、かつては花火大会ごとの競争が激化する中で、実際には三尺に満たない大きさの玉(あるいは筒のサイズだけ合わせたもの)でも「三尺玉」と呼称するケースがあったと言われています。

そうした中で、長岡の正三尺玉は「寸分たがわぬ正確な三尺の大きさである」こと、そして「火薬の量も威力も規格外の本物である」ことを強調するために、あえて「正」の字をつけて差別化を図ったのです。

つまり、正三尺玉という名称には、ごまかしのない技術力と品質への自信が込められています。

片貝まつりとの「花火戦争」の歴史

この「正」へのこだわりが生まれた背景には、同じ新潟県内にある小千谷市の「片貝まつり」との良きライバル関係があります。

昭和の時代、長岡と片貝は互いに「どちらがより大きな花火を打ち上げられるか」という熾烈な「大きさ競争(花火戦争)」を繰り広げていました。長岡が三尺を上げれば、片貝も三尺を上げ、さらに長岡が「正三尺」と銘打てば、片貝は後に世界一となる「四尺玉」へと挑戦していく。

この切磋琢磨があったからこそ、「三尺玉」という巨大花火の製造技術と安全管理のノウハウが飛躍的に向上しました。

現在では、長岡花火といえば「正三尺玉」、片貝まつりといえば「四尺玉」というイメージが定着していますが、その根底には、互いに競い合い高め合った職人たちの熱い歴史が刻まれています。

長岡花火における「正三尺玉」の特別な意味

長岡まつり大花火大会
日本全国で花火大会は開催されていますが、長岡花火、そしてそこで打ち上げられる正三尺玉には、他とは決定的に異なる背景があります。

それは、この花火が単なる夏のエンターテインメントではなく、悲劇の記憶を語り継ぐための「慰霊の花火」であるという点です。

空襲警報のサイレンと共に打ち上がる「慰霊の花火」

長岡まつり大花火大会の正三尺玉打ち上げ前には、会場全体に独特の緊張感が走ります。それは、打ち上げの合図としてサイレンが鳴り響くからです。

昭和20年8月1日の「長岡空襲」。1,488名の尊い命が奪われたこの悲劇を忘れないために、長岡花火ではサイレンを吹鳴し、今ある平和に感謝を捧げます。あの日の空襲警報を想起させるサイレンの音と共に、漆黒の闇に巨大な火の花が咲く光景は、見る人の魂を揺さぶり、自然と涙がこぼれるほどの神聖な空気に包まれます。

正三尺玉は、単に「大きい花火」ではなく、空襲で亡くなった方々への鎮魂の祈りそのものなのです。

「慰霊」「復興」「平和」の3連発

長岡花火大会全体を貫くテーマは、「慰霊」「復興」「平和」の3つです。

大会の冒頭には、この3つの祈りを込めて「白菊」という真っ白な尺玉が3発打ち上げられますが、その精神はメインプログラムである正三尺玉にも強く受け継がれています。戦災からの復興を願い、不撓不屈の精神で作り上げられた正三尺玉は、長岡市民にとって復興のシンボルであり、恒久平和への誓いでもあります。

圧倒的な轟音と共に夜空を覆いつくす正三尺玉を見上げながら、会場にいる全員が平和の尊さを噛みしめる。これこそが、長岡花火が「日本一マナーが良い花火大会」と言われ、多くの人々に愛され続ける理由なのです。

正三尺玉に関するよくある質問(値段・場所)

FAQ
圧倒的なスケールを誇る正三尺玉ですが、その裏側にあるコストや、長岡以外でも見ることができるのかといった疑問を持つ方も多いでしょう。

ここでは、検索されることが多い「値段」と「観覧できる場所」について解説します。

正三尺玉の値段は一発いくら?

結論から申し上げますと、花火の正確な価格は時価や仕様によって異なりますが、正三尺玉クラスになると一発あたり約200万円〜300万円と言われています。

ただし、これはあくまで「花火の玉そのもの」の概算価格に過ぎません。実際には、以下のような膨大な付帯費用が発生します。

  • 専用の巨大な打ち上げ筒の設置・撤去費用
  • 広範囲に及ぶ保安距離(立ち入り禁止区域)の確保
  • 多数の警備員や消防設備の配置

これらをすべて含めると、たった一発を打ち上げるためにかかる総額はさらに跳ね上がります。つまり、正三尺玉は単にお金を出せば上げられるものではなく、地域ぐるみの協力と厳重な安全管理体制があって初めて実現する贅沢な芸術品なのです。

日本国内で正三尺玉が見られる花火大会は?

正三尺玉(または三尺玉)は、その巨大さと保安上の理由から、打ち上げ可能な場所が限られています。日本国内でこのクラスの巨大花火が見られる代表的な花火大会は以下の通りです。

  • 長岡まつり大花火大会(新潟県長岡市):慰霊の正三尺玉として有名。
  • 片貝まつり(新潟県小千谷市):三尺玉に加え、世界最大級の「四尺玉」が打ち上がることで知られます。
  • こうのす花火大会(埼玉県鴻巣市):川幅日本一の地形を活かし、四尺玉や三尺玉の打ち上げ実績があります。
  • 蒲郡まつり納涼花火大会(愛知県蒲郡市):太平洋岸で正三尺玉が見られる貴重な大会として人気です。

もし「どうしても巨大花火の身体への衝撃を体感したい」という場合は、まずは花火王国・新潟県の長岡や片貝を訪れてみることを強くおすすめします。

まとめ:正三尺玉は技術と想いが詰まった「本物」の大花火

長岡まつり大花火大会の正三尺玉
本記事では、長岡花火の代名詞とも言える「正三尺玉」について、その大きさや名称の由来、そして込められた深い意味について解説してきました。

直径90cm、重さ300kgという圧倒的な質量と、上空650mに広がる光の芸術。しかし、正三尺玉がこれほどまでに多くの人々を魅了してやまない本当の理由は、そのスペックだけではありません。

職人たちが競い合い磨き上げてきた「正真正銘の技術」と、長岡空襲の犠牲者を悼む「慰霊と平和への祈り」。この2つが重なり合っているからこそ、見る人の心に深く響く特別な花火となっているのです。

映像や写真で見る正三尺玉も美しいですが、現地でサイレンの音と共に全身で感じる衝撃波は、言葉では表現しきれない感動があります。

ぜひ一度、長岡の地を訪れ、夜空を埋め尽くす「本物」の輝きと轟音を体感してみてください。きっと、花火を見る目が変わり、一生忘れられない夏の思い出になるはずです。

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