花火大会のスターマインのイメージ

コラム

花火大会でよく聞くスターマインとは?実は花火の種類ではない!

スターマインとは?まずは結論「花火の“種類”ではなく“演出方法”」

花火大会のプログラムで「スターマイン」という言葉を耳にしないことはないでしょう。「続いては、〇〇提供のスターマインです」といったアナウンスが流れると、夜空が一気に華やかになり、観客のボルテージも最高潮に達します。

この「スターマイン」という言葉、多くの人が「菊(きく)」や「牡丹(ぼたん)」のような、特定の形をした「花火玉(はなびだま)の種類」だと思っていませんか?

実は、それはよくある誤解です。タイトルにもある通り、結論から言うと、スターマインとは特定の花火玉の名前ではなく、「花火の打ち上げ方(演出方法)」を指す言葉なのです。この記事では、花火大会の「華」とも言えるスターマインの本当の意味を、詳しく解説していきます。

多くの人が「花火玉の種類」と勘違いする理由

では、なぜこれほど多くの人がスターマインを「花火の種類」だと誤解しているのでしょうか。

最大の理由は、花火大会のアナウンスやプログラム(演目)の紹介の仕方にあります。「尺玉(しゃくだま)の部」や「創造花火の部」といった紹介と同じ並びで、「スターマインの部」と紹介されることが非常に多いからです。「菊」「牡丹」「柳」...そして「スターマイン」と並べられると、誰もがスターマインを花火玉の一種だと認識してしまうのも無理はありません。

また、「スター(星)」という言葉から、星のようにキラキラと点滅する特定の花火(「フラッシュ」や「点滅星」など)を想像する人も多いため、「そういう名前の花火なんだ」と思い込みやすいのです。

正しくは「速射連発」を意味するプログラム名

スターマインの正しい定義は、日本語で言うところの「速射連発(そくしゃれんぱつ)」です。

つまり、1発ずつ「間(ま)」を楽しみながらじっくりと打ち上げる伝統的な「割物(わりもの)」とは対照的に、複数の花火玉、あるいは数十から数百、時には数千発もの花火玉を、短い間隔で連続的(リズミカル)に、あるいは一斉に打ち上げる演出プログラム全体を指します。

地上に設置した多数の筒(発射筒)を導火線で連結させ、あるいはコンピュータ制御によって精密なタイミングで次々と点火していく、いわば「花火のショー」そのものがスターマインです。夜空を巨大なキャンバスに見立て、時間差で「点」や「線」、「面」を描き出す、壮大でダイナミックな演出手法なのです。

スターマインの語源と歴史

「スターマイン」という言葉は、その響きから「星(スター)が私のもの(マイン)」のようにロマンチックに解釈されることもありますが、実際は全く異なる意味を持っています。その迫力ある演出の秘密は、意外な語源に隠されていました。

語源は「Star(星)」+「Mine(鉱山)」

スターマイン(Star Mine)という言葉を分解すると、「Star(星)」と「Mine(鉱山、地雷)」という二つの単語になります。

「Star」は、ご想像の通り、花火の光の玉である「星(ほし)」を指します。一方、「Mine」は「私のもの」という意味ではなく、「鉱山」や「地雷」を意味します。

これは、火工品(花火の専門用語)において、「マイン(Mine)」と呼ばれる種類の花火があることに由来します。マインとは、地上に設置した筒(発射筒)から、多数の「星」や「効果(エフェクト)」を一度に空高く“吹き上げる”タイプの花火を指します。その様子が、まるで地中に埋められた地雷が爆発して中身を撒き散らす様子や、鉱山から鉱石が噴出するイメージに似ていることから、この名前が付きました。

つまり、「スターマイン」の本来の語源は、「星(Star)を(地雷のように)吹き上げる(Mine)花火」という意味だったのです。

日本におけるスターマインの始まり

この「マイン」という花火は、もちろん海外から日本に伝わってきました。しかし、日本の花火師たちは、これを独自の形で発展させます。

当初は、語源の通り、地上から「星」を吹き上げる演出が主だったと考えられます。しかし、日本の花火大会では、夜空に大きく開く「割物(わりもの)」と呼ばれる伝統的な花火が主役です。

そこで、日本の花火師たちは、地上から吹き上げる「マイン(Mine)」と、夜空で大きく開く「割物(Shell)」を巧みに組み合わせ、リズミカルに、かつ連続的に打ち上げる演出方法を編み出しました。これが、現在私たちが目にする「日本型スターマイン」の原型です。

地上付近の低い位置で連続的に開く花火と、上空で大輪の花を咲かせる花火が、時間差で夜空を埋め尽くす――。
こうしてスターマインは、単一の花火の名前から、「速射連発で構成されるダイナミックな演出プログラム」そのものを指す言葉として、日本国内で定着していったのです。

スターマインの主な特徴【迫力の秘密】

スターマインが他の花火と一線を画し、観客を熱狂させる「迫力」はどこから来るのでしょうか。それは、スターマインが「速射連発の演出プログラム」であるという特性に由来しています。ここでは、その迫力の秘密を3つの特徴に分解して解説します。

特徴1:数十~数千発の大量の花火を連続して打ち上げる

スターマインの最大の特徴は、なんといってもその「物量」と「スピード感」です。

伝統的な「割物(わりもの)」の打ち上げが、一発一発の「間(ま)」を楽しみ、玉が開いてから消えゆくまでの余韻を味わうものであるのに対し、スターマインは次から次へと間髪入れずに花火を打ち上げます。

小規模なものでも数十発、大規模な花火大会のフィナーレともなれば、数分間のうちに数千発もの花火が夜空を埋め尽くします。この圧倒的な密度と、息つく暇も与えないスピード感あふれる展開こそが、スターマインのダイナミックな迫力の源泉です。

特徴2:大小様々な花火玉(割物・ポカ物)を組み合わせる

スターマインは、単に同じ種類の花火を連続で打ち上げているわけではありません。その魅力は「計算された構成美」にあります。

例えば、地上近くでリズミカルに開く小さな花火、中空で様々な色や形(ハートやスマイルなど)を見せる「ポカ物」、そして上空で雄大に開く伝統的な「割物」…。これら大きさ、種類、高度の異なる多種多様な花火玉を、精密なタイミングで組み合わせて構成されています。

低い位置から高い位置まで、夜空全体を立体的に使うことで、単なる「連続花火」を超えた、一つの壮大な「作品」として完成されています。この複雑な組み合わせが、スターマインの奥行きと芸術性を生み出しているのです。

特徴3:花火大会の「目玉」や「フィナーレ」で使われることが多い

その圧倒的な華やかさと迫力から、スターマインは花火大会のプログラムの中でも、最も観客の盛り上がりが期待される「山場」で使われます。

プログラムの中盤に据えられ、大会の「目玉」として雰囲気を一気に盛り上げる役割を担ったり、あるいは大会の最後を飾る「グランドフィナーレ」として、すべての観客に強烈な感動と満足感を与えたりします。

スポンサー企業の名前を冠した「〇〇スターマイン」として提供されることも多く、その花火大会のハイライトとなる重要な演出であることは間違いありません。スターマインの始まりは、花火大会がクライマックスを迎える合図でもあるのです。

スターマインと他の花火との違いは?

スターマインが「速射連発の演出プログラム」であることはご理解いただけたかと思います。では、私たちが花火大会で目にする他の花火とは、具体的に何が違うのでしょうか。ここでは、代表的な花火用語である「割物(わりもの)」と「仕掛け花火」との違いを明確に解説します。

「割物(わりもの)」との違い:単発の美 vs 連続の美

「割物」とは、日本の花火大会の主役であり、夜空で真円に美しく開く、伝統的な花火玉そのものを指します。「菊」や「牡丹」といった花火の種類を聞いたことがあるかと思いますが、それらはすべて「割物」の一種です。

割物の打ち上げは、一発ずつ「玉名(たまや)...」の掛け声とともに打ち上げられ、観客はその一発が開き、光が消えていくまでの「間(ま)」や「余韻」を静かに楽しみます。これは「単発の美」を追求する鑑賞スタイルです。

対して「スターマイン」は、これらの割物や、次に説明する「ポカ物」といった様々な花火玉を“素材”として使用し、それらをリズミカルに連続発射する“演出”を指します。一発の美しさをじっくり味わうのではなく、間髪入れずに繰り出される光と音のシャワー、その「連続の美」と「迫力」を楽しむのがスターマインです。

「仕掛け花火」との違い:打ち上げ vs 地上設置

「仕掛け花火」も、スターマインと同様に「花火玉の種類」ではなく「演出方法」の一つです。しかし、その設置場所が根本的に異なります。

仕掛け花火とは、地上や水上、あるいは枠組み(フレーム)などに花火を設置し、火を点けると文字や絵柄が浮かび上がる花火を指します。代表的なものに、橋などから火の粉が滝のように流れ落ちる「ナイアガラ」や、スポンサー名などを表示する「文字花火」があります。

スターマインは、基本的に筒(発射筒)を使って花火玉を空高く「打ち上げる」演出です。一方、仕掛け花火は、地上付近で火薬を燃焼・噴出させて見せる「地上設置型」の演出です。

ただし、現代の花火大会ではこれらが組み合わされることも多く、地上で仕掛け花火が点火すると同時に、上空ではスターマインが打ち上がり、空全体を使った豪華なショーが展開されることもあります。

花火大会でスターマインを120%楽しむ方法

スターマインが「花火の種類」ではなく、「速射連発の演出プログラム」であると知った今、花火大会での楽しみ方が少し変わってくるはずです。一発一発の美しさを目で追うだけでなく、プログラム全体の構成や流れを意識することで、花火師が込めた意図や技術の高さをより深く味わうことができます。

ここでは、スターマインの魅力を120%引き出すための、具体的な鑑賞のポイントをご紹介します。

プログラム(演目)のアナウンスに注目しよう

花火大会の多くは、アナウンスや配布されるプログラム(演目表)に沿って進行します。そこで「スターマイン」という言葉が出てきたら、それが「ショーの始まり」の合図です。

「次は尺玉(しゃくだま)です」というアナウンスは「一発の花火」を意味しますが、「次はスターマインです」のアナウンスは「数分間にわたる連続した花火ショー」を意味します。心の準備が全く変わってきますよね。

この合図を聞いたら、単発打ちとは違うカメラの設定(動画モードや連写モード)に切り替えたり、プログラムが終わるまで集中して夜空全体を見渡したりと、鑑賞の体勢を整えましょう。「あ、今から豪華なのが来るぞ」と構えるだけで、満足度は格段に上がります。

「〇〇スターマイン」という名称に注目

スターマインは、単に「スターマイン」と呼ばれるだけでなく、「〇〇スターマイン」といった固有のタイトル(演目名)が付けられていることが非常に多いです。

例えば、「恋するスターマイン」「宇宙旅行スターマイン」「デジタルスターマイン」など、そのタイトルがスターマインの「テーマ」や「コンセプト」を表しています。花火の色使いや打ち上げの緩急、使われる花火玉の形で、そのテーマをどのように表現しているのかを想像しながら見ると、芸術鑑賞としての楽しみ方が加わります。

また、「〇〇会社提供 ワイドスターマイン」のように、スポンサー名や規模(ワイド=横幅が広い)を表すこともあります。演目名に注目することで、そのスターマインが持つ背景やスケール感を読み取ることができます。

音楽と連動する「ミュージックスターマイン」も必見

近年、多くの花火大会で主流となりつつあるのが、スターマインをさらに進化させた「ミュージックスターマイン(音楽花火)」です。

これは、単にBGMとして音楽を流すのではなく、音楽のリズム、メロディ、サビの盛り上がり、曲の静止(ブレイク)などに合わせ、0.01秒単位で花火の打ち上げタイミングを精密にプログラミングしたものです。

曲の歌詞や世界観を花火の色や形で表現し、音と光が完全にシンクロする様子は、まさに「夜空のミュージカル」です。スターマインが「演出プログラム」であることの最たる例であり、花火師の技術とセンスが光る総合芸術です。もしプログラムに「ミュージックスターマイン」の文字を見つけたら、それは絶対に見逃せないハイライトと言えるでしょう。

スターマインがすごい!一度は見たい国内の有名花火大会

スターマインが「速射連発の演出プログラム」であると知ると、次は「すごいスターマイン」を実際に見てみたくなりますよね。日本国内には数多くの花火大会がありますが、その中でも特にスターマインの迫力や芸術性で全国に名を馳せる、トップクラスの花火大会が存在します。

ここでは、「スターマインを見るならココ!」と自信を持っておすすめできる、一度は訪れたい日本屈指の花火大会を3つ厳選してご紹介します。これらの大会では、スターマインが単なる「盛り上げ役」ではなく、花火師の技術とプライドがぶつかり合う「競技」の対象となっていることもあり、そのレベルは圧巻です。

【秋田】全国花火競技大会(大曲の花火)

「大曲の花火」は、日本で最も権威のある花火競技大会の一つです。全国から選び抜かれた一流の花火師たちが、その年の新作花火や最高の技術を披露し、内閣総理大臣賞を目指して競い合います。

この大会のプログラムには「スターマインの部」が設けられており、各業者がテーマ性、色彩、リズム、構成のすべてにおいて工夫を凝らした、芸術作品としてのスターマインを鑑賞できます。音楽とシンクロさせた完成度の高い作品が多く、まさに「見る芸術」と呼ぶにふさわしいスターマインが夜空を彩ります。

【茨城】土浦全国花火競技大会

大曲と並び、「日本三大花火競技大会」の一つに数えられるのが土浦です。この大会も競技大会であり、特に「スターマインの部」は花火師たちの腕の見せ所となっています。

土浦のスターマインは、その圧倒的な物量とスピード感で知られています。視界いっぱいに広がるワイドな展開と、息つく暇もないほどの速射連発は、観客を興奮の渦に巻き込みます。技術と迫力の両方を兼ね備えた、ハイレベルなスターマインが集う場所です。

【新潟】長岡まつり大花火大会

競技大会とは異なりますが、日本一のスケールとも称されるのが「長岡の花火」です。この大会の代名詞とも言えるのが、復興祈願花火「フェニックス」や「米百俵花火」といった超大型のスターマインです。

特に「フェニックス」は、信濃川の広大な河川敷を横幅いっぱいに使い、平原綾香さんの楽曲『Jupiter』に合わせて数分間にわたり打ち上げられる、まさに圧巻のミュージックスターマイン。そのスケール感と感動的な演出は、他の花火大会では決して味わうことのできない、唯一無二の体験となるでしょう。

まとめ:スターマインは「花火のフルコース」!迫力の演出を楽しもう

花火大会で当たり前のように聞いていた「スターマイン」。
この記事を通じて、それが「菊」や「牡丹」のような花火玉の種類ではなく、「速射連発」という“演出プログラム”そのものを指す言葉である、ということがお分かりいただけたかと思います。

スターマインとは、花火師が「夜空」という巨大なキャンバスに、多種多様な花火玉(素材)を、時間と空間を巧みに操りながら描き出す、壮大な光と音のショーです。地上近くでリズミカルに弾ける光、中空を彩るカラフルな花々、そして上空で大輪を咲かせる伝統の割物…。

それらが一体となって観客に押し寄せる迫力は、まさに「花火のフルコース」と呼ぶにふさわしいものです。一発一発の美しさをじっくりと味わう単発打ちが「逸品料理」だとすれば、スターマインは前菜からメインディッシュ、デザートまでが計算され尽くした構成で次々と繰り出される、エンターテインメントと言えるでしょう。

次に花火大会を訪れた際は、ぜひプログラムのアナウンスに耳を傾けてみてください。「スターマイン」という言葉が聞こえたら、それは「これから一つの作品が始まる」という合図です。

夜空全体を立体的に使った花火師の演出に注目し、その迫力と芸術性を丸ごと楽しんでみてはいかがでしょうか。きっと、これまでとは一味違う、より深い花火鑑賞の魅力に気づくはずです。

  • この記事を書いた人
ハナビームのアイコン

ハナビーム編集部

ハナビームでは、2026年の最新花火大会情報を分かりやすくお届けします。 あなたにぴったりの近くの花火大会や人気の花火大会を見つけてください。

-コラム